【ATD2019】マイクロラーニング・ニューロサイエンスの動向などATD2019雑感

ATD
この記事を書いた人
Nagami@Aldoni Inc.

事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして独立。人事領域全般のコンサルティングを主な事業としているアルドーニ株式会社の代表。

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1ヶ月以上前のことになると、記憶も薄れてきます。「脳が2週間後に記憶しているのは10%程度」と話されていたセッションがあったので、今となっては5%程度だとしても致し方ないのか(笑)。

今まで取り上げた内容以外で記録しておきたいテーマについて、ランダムに記載します。

マイクロラーニング

失敗するケース

すっかりコンセプトが定着したと思えるマイクロラーニング。2年前のATDでは、「マイクロラーニングとはどういうものなのか」という「定義」がメインテーマでした。

<ATD2017>Microlearning(マイクロラーニング)は学習方法の一つ。高速にPDCAサイクルを回し続けることが最重要
アトランタで開催されていたATD2017も終了し、私も昨日(5/26)帰国しました。今回は事前の準備も、(私としてはしっかりと)行っていたこともあり、充実かつハードな4日間でした。現地での滞在様子はこ.....

しかし、今年は「マイクロラーニングをどのように適用するか」「その結果から学んだこと」といったことを取り上げたセッションが多かったです。また、マイクロラーニングが失敗するケースとしては以下のようなことがあげられます。

  • 範囲・テーマを限定していない
  • ニーズを明らかにしていない
  • いきあたりばったり
  • 方針・計画を定めていない
  • (コンテンツへの)アクセスが容易ではない

コンテンツの格納先としては、いわゆるLMS(Learning Management System)の導入が前提と考えられがちですが、Sharepoint上でYouTubeやVIMEOを使うことで実現させたケースもあるようです。

経営層に入るためのツール

「L&D担当者のおかれている環境や、求められている役割はかわってきている一方、経営層のボードメンバーなどには入っていないことが多い。この状況を打破するための方法として、マイクロラーニングを活用することがあげられる」という内容を話していたセッションもありました。

マイクロラーニングは小さくスタート、焦点を維持/固守するというが原則で、具体的には7つの分野で適用できるようです。

  1. On boarding
  2. Leadership
  3. Sales & Customer Relationship
  4. Compliance
  5. Culture Building
  6. Career Growth
  7. Management Training

いろいろと風呂敷を広げるのではなく、まずは「Quick win」を得るべきというのは、マイクロラーニングでも同様のことが言えると思います。

ニューロサイエンス

数年前からATDでも取り上げられていたニューロサイエンス(脳科学)。学習における脳の反応も考慮して、どうすれば「より効果の高い学習が可能となるのかを、科学的に解明したうえで、それを研修プログラムなどに反映させよう」というコンセプトです。

ただ、今までは、「脳を活性化させるためには、適度に休憩をとること」といった「科学」からは程遠い内容ばかりで、「眉唾物」だと思っていました(笑)。

しかし、今年は(文系の私でも理解できる)科学的な見解が多く発表されていたようです。例えば、以下のようなことが話されていたとのことです。(情報共有会で得たことで、私自身は脳科学関連のセッションには出ませんでした。)

  • 脳ができることを学んでやってみる
  • 記憶には9種類ある。そのうち2種類が短期(1秒、1分)、7種類は長期(潜在的、顕在的)
  • 脳のどこに残すのかによって、トレーナーとしてアプローチが異なる
  • ビジュアルは2つある。聴覚も2つ。嗅覚は360種類の記憶を持つことができる
  • 脳は使われている場所によって、反応するあるいは反応しない
  • 脳が全部反応する=音楽を聴いているとき
  • 記憶できないのは、脳へのアテンションが不足しているから

脳科学を専門に研究されている方々が登壇されたらしく、要するに人材開発側に「寄って」きたとも言えます(笑)

外れセッション

事前準備も行っていたので、「これは失敗した。他のセッションにすればよかった」というものは無かった・・・と言いたいのですが、残念ながらありました(笑)。

タイトルが「Can We Talk? I’m Leaving: 7 Steps to Effective Employee Off-Boarding」だったので、退職手続きの際に必要なことを「研修プログラム」に落とし込んで、どのように社員に展開する(した)のかといったことなのかな・・・と予測していました。

しかし、実際には、”退職プロセスにおいては、本人だけではなく上長や人事も時期に応じた役割がある。また、7つのステップにしたがって退職プロセスを進めていったほうがよい。”という、単なる退職プロセスについての解説にとどまり、かなり肩すかしでした・・・。

アメリカに行く理由

日本でも多くのカンファレンスが開催されていますが、よくよく吟味する必要があるというのは、↓の記事に書いた出来事で痛感しました。

HRカンファレンスに参加して、有料かつ地方で開催すればよいと感じた理由。楽しくなければカンファレンスじゃない
午後に2つのセッションに参加するため、4日間開催されていた「HRカンファレンス2018春」の最終日に行きました。過去に参加しようと思ったものの、スケジュールがあわなくなってキャンセルしたこともあり、実.....

「楽しい上に、学びが得られるカンファレンスが日本に無い」という現状が、ATDに参加している理由ではないかと思います。母国語ではない言語で実施されるセッションに、日本から遠路はるばる参加する方々が230名(海外からの参加者数:世界第3位)近くいたということがその証拠とも言えるでしょう。

2020年以降のATD ICE 開催時期・都市

ATD ICEに関しては、来年以降3年先までスケジュールと開催都市が発表されています。

  • 2020年5月17日~20日@Denver,CO →中止
  • 2021年8月29日~9月1日@Los Angeles,CA →Salt Lake City, UT
  • 2022年5月15日~18日@Orlando, FL

今まで2年おきに参加していたので、順当にいけば次回は2021年の予定ですが、場合によっては来年も参加することは考えてみたいと思います。

<ATD2019のレポート>

【速報】ATD2019をTwitterとFacebookで振り返る
ATD2019期間中のTwitterやFacebookの発信をまとめました。Twitterに関しては、日本以外の方にも伝えたかったので、英語でのツイートが多めです。改めて整理したものではなく、現地で感じた時に感じたままに記しています。
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先日のATD2019にて、多くのセッションに出席しました。その中で、「人材開発プロフェッショナルの役割や期待すること」について言及していたセッションに複数出たのですが、これが新たな提言もあれば、要する.....
【ATD2019】フィードバックがネガティブなものではなく、ギフトとして捉えられるふるまいとは
「フィードバック」は、評価サイクルだけではなく、日常の業務の中でも定着しつつあるアクションでしょう。ATD2019においてもフィードバックに関するセッションは数多く設けられており、私もいくつかのセッシ.....

<ATD2019に関する過去記事>

Washington,D.C.で開催されるATD2019に参加します。現地で情報交換できる方も緩く募集
毎年5月にアメリカ国内の都市で開催されるATD人材育成国際会議(以下、ATD-ICEあるいはATDと記載)、今年は5月19日~22日@ワシントンDCとなっています。私は2013年以降、2年に1回のペー.....
<ATD2019>参加するセッションの素案を作りつつ、人材開発のトレンドを予測する。今年は・・・?
1月の記事で告知したATD2019もいよいよ来月中旬となりました。そのため、どのセッションに参加するのかを検討しはじめました。もちろん、直前(場合によっては期間中も)に変更することも十分にありえるので.....
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ATD2019のキーノーツスピーカー(オプラ・ウィンフリー、セス・ゴーディン、エリック・ウィテカー)について事前に調べておきたいと思います。ここ数年、毎回3名の方が登壇しており、そのうち1名が芸術系の方です。
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いよいよ次の日曜日(5/19)からATD2019が開催されます。今回は、準備状況などATDに関することをアップデートしたいと思います。手を抜こうと思えば何とでもなるのですが、そうすると現地で得られるも.....
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