人事スタッフに必要な資格は無い。資格を取る暇があるなら、仕事で実績を作ろう

キャリア
この記事を書いた人
Nagami@Aldoni Inc.

事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして独立。人事領域全般のコンサルティングを主な事業としているアルドーニ株式会社の代表。

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たまに、「どんな資格を持っているんですか?」と聞かれることがあります。正直、ビジネス上、役に立つ(かもしれない)資格は「SAP HR認定コンサルタント」くらいでしょう。しかも、それですら、「そんな古いバージョンを使っている会社は、今では無いだろう」というくらい、だいぶ以前のバージョンを対象にしたものです。人事部門のスタッフとして10年程度の業務経験がありますが、資格が無くても一定以上の成果は出してきました。実証済み(笑)。

医師や弁護士のように資格を持っていないとできない仕事ならば、資格は必須だと思います。ただ、人事の仕事というのは、「資格を持っていないといけない」というものではないと思っています。それよりも、どれだけ実践を積んでいるか、そういったことをふまえてどのように新たなことに取り組めるのか・・・ということが重要だと思っています。すなわち

資格そのものにそれほどの意味は無い

ものだと思っています。

そもそも、どんな資格があるのか?

「人事 資格」というキーワードでGoogleで検索してみたところ、結構いろいろと出てきました。日本って国は、「資格」という形で、物事を体系化するのが好きなのかもしれません(笑)。どんなものがあるのか、リンクは貼りませんが記載します。具体的な内容にご興味ある方は検索してみてください。

  • 人事総務検定
  • ビジネスキャリア検定(人事・人材開発区分)
  • 給与計算実務能力検定
  • メンタルヘルスマネジメント検定試験
  • マイナンバー実務検定
  • ビジネスマネジャー検定

社労士(社会保険労務士)などの一部の国家資格を除けば、多くは民間団体が運営しているものです。これは、何を意味しているのかを分解してみました。具体的には、どんな「収益」が発生するのかということです。思いつく限りでは、以下の通りです。

  • 資格試験受験費
  • 過去問題集などのテキスト本

  • 資格試験合格のための講座費用(通信、教室)
  • 資格更新費用(運転免許のような更新を伴う資格の場合)

内容をさらっとみた限りでは、重複する分野を扱っているものもありました。そして、それらは、別々の団体が運営しています。こうなると、「事業として収入を得るために資格を創設しているのでは?」と邪推してしまうわけで・・・。

何それ?レベルの認知度の資格を取る意義は?

資格をもっている=その業務が遂行できる とはなりにくいと思います。どちらかといえば、こういったビジネス系の資格というのは、いろいろと実務経験を積んだ方が、そのスキルを他にわかりやすい形で示すための手段の一つとして存在しているのではないでしょうか?

しかし、そもそも存在があまり知られていない・認知されていない資格の場合は、そのメッセージは成り立つでしょうか?

「ビジネスマネジャー検定に合格しているから、この方はマネジャーとして適切な能力や経験を有している」などという発言は、今まで全く聞いたことも言ったこともないし、これからも無いでしょう(笑)・・・。ではこういった資格はどんな時に有効なのか?正直、あまり思い当たるケースは無いのですが(笑)、あえて出すとするならば・・・

その業務は未経験だけど、今後、その業務にたずさわっていきたいと思う方が、いかに関心が高いかをアピールする

といったケースくらいでしょうか?これも、ある程度若手に限定されると思います。他に「こういった時に役に立つ」というものが、あればご教示ください。

資格を持っているかどうかより実績を示した方が早い

資格そのものを取得することよりも、実際に業務として何を実績として行ったのかを示した方が手っ取り早いと思っています。「キャリアカウンセラーの資格を持っている」というよりも、「社員のキャリア相談を毎月2,3名行っている」という方が説得力はあるでしょう。「給与計算実務能力検定1級は合格しているが、実務は行ったことない」よりも、「給与担当者として3年の経験がある」とか「給与システムの導入と運用を行っている」という方が、「給与管理の実務者」だと思いませんか?

資格取得よりも体系的に学ぶツールとして使う

社労士、キャリアカウンセラーのように、その資格を持っていることが、人事業務を行う上でプラスになる資格もあるのは事実です。ただ、こういったものを業務を行いながら資格を取らないといけないのかどうか・・・というと、状況にもよりますがたいていは必須ではないと思います。当事者の考え方次第です。

どちらかといえば、何かを体系的に学びたいといった時に資格試験のテキストを使うのが有効だと思います。例えば、労働基準法、労働安全衛生法や36協定といったことを体系的に理解したいならば、各法律について調べるよりも、社労士受験用のテキストを読んだ方がよっぱど早く習得できるでしょう。実際、私も社会人1年目に会社のサポートもあったので、社労士の通信教育を受講したことがあります。試験に合格するかどうかはどうでもよい、どころか、社労士試験そのものは受けていません。試験で扱っている中身を掌握すること(=労働関連の法律について習得すること=通信教育を完了させること)が最大の目的でした。

インプットだけ、すなわち、資格だけをもっていても、アウトプットを行っていなければ意味はないと思っています。資格を取るためにある程度の時間を学習に費やしているのは、確かにすごいかもしれませんが、私はそこではない部分で勝負します。

<2023年11月13日追記>この記事の続編的な位置づけ。人事関連資格にどんなものがあるのか、その活用方法を提案しています。

<2018年4月25日追記>資格取得とは関係なく、どんな人が人事に向いているのか・・・という私見を記載しました。

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