【ATD21@Home】世代要素・責任・アジャイル・学習者視点

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この記事を書いた人
Nagami@Aldoni Inc.

事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして独立。人事領域全般のコンサルティングを主な事業としているアルドーニ株式会社の代表。

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ATD21が終了してから早くも2ヶ月近く経過しました。いくつかのセッションに参加して気になった点や共有したいことをあげたいと思います。こういうものは早く記録にしておかないと、すぐに忘れてしまう(笑)・・・。

世代要素は考慮する

「学ぶことにおいて、年齢による制限は無い」と言われており、その通りではある一方、研修プログラムなどを設計する際に年齢要素を完全に無視してしまうと、学習効果が低下することがあることは認識するべきことのようです。

「X/Y/Z: How to Avoid Generational Pitfalls in L&D」というアクセンチュア社の方々によるセッションは、世代を定義した上での調査結果の共有でした。

    • ベビーブーマー: 1946-1964年生まれ
    • X世代: 1965-1981 年生まれ
    • Y世代(ミレニアム世代):1982-1995年生まれ
    • Z世代:1996年生まれ以降
  • キャリア開発に関しては、若い世代がそれより上の世代の学習者よりも2倍以上のモチベーションを持っている、とのこと。←それは確かに。若い方々のほうが「先」が長いですから。
  • 自己能力を高めている年配世代の方々は、自分が知っていることを共有したり、提案をする機会を好意的に受け取っている。
  • 対話型・参加型のトレーニングは、年齢が混在したグループで実施するとよい。
  • ベビーブーマーは、テクノロジーを使うことやそれについて学ぶことにも、他の年齢層と同様に興味があるように見られる。ただ、この調査がソーシャルチャンネルを利用しており、そもそも十分な技術的知識を持っている人が参加していたゆえ、この特徴は、全年齢層を代表するものではないかもしれない。そのため、団塊の世代に焦点を当てたオフラインの調査が必要ではないか。

また、「The New L&D Model Driving Digital Age Leadership」によると、デジタル世代においては「(その研修を受講した結果)仕事上、どのように変化するのか」を「学習ゴール」にしたほうがよい、とおっしゃっていました。

個人的には、↑は世代に関係なく言えることでないかと思います。

非難ではなく責任をはたす

「Creating a Culture of Accountability, Not Blame」というタイトルのセッションにおいて、コンフリクトが発生しない職場は無いが、それが発生した時にどのように対処するのかによって、職場環境は大きく異なってくるとおっしゃっていました。

何か問題が発生した時に、その事象だけにフォーカスして何も行動せず他責にするのではなく、どんな解決方法があるのかをブレインストーミングにて明確にし、次のアクションに進めることを説いていました。当たり前のことなのかもしれません。しかし、会話術のフレームワークとして定義されており、わかりやすく伝えておりました。

L&Dにもアジャイルの適用が求められる

研修プログラムの開発メソドロジーといえば「ADDIEモデル」が認知されていますが、変化のスピードが速い令和の時代においては、研修プログラムを開発している途中で状況が変わってしまい、リリースする頃には意味のないものになってしまうケースもあります。そのため、システム開発でも取り入れられている「アジャイルによる開発」を適用すべき、と「Using Agile Methods in Learning and Development」にておっしゃっていました。

【参考】アジャイル開発に関しては、こちら↓をご参照ください。
アジャイル開発とは?主流の開発手法「スクラム」も…|Udemy メディア
アジャイル開発はシステムやソフトウェア開発におけるプロジェクト開発手法のひとつ。機能単位の小さいサイクルで開発工程を繰り返すため、従来の開発手法と比べ、期間が短縮されるのがメリットです。アジャイル開発.....

ADDIEモデルは、アジャイル開発と対比的なアプローチの「ウォーターフォール開発」と言えます。このモデルは理想的ではあるが、開発中に変化などが起きないことを想定しているので、ビジネス上の変化に対応しきれない可能性があります。現実世界では、次々と変化が起こりそれに呼応していくことになるので、ADDIEモデルでは限界が生じることがあります。

そのため、小さいサイクルで開発→実施・評価を繰り返し、開発中に発生する様々な状況の変化に対応しながら開発を進めていく「アジャイル開発」をL&Dの領域にも適用すべきということです。

アジャイルのイメージ(セッションの資料から抜粋)

「12週間でやっていたものを3週間に!」「早く間違えて」というコメントが印象的でした。また、アジャイルといいマイクロラーニングといい、研修プログラムの短期化・細分化はもはや必須の考え方なんだろうと再認識しました。

学習者のゴール・モチベーションを優先する

上記の「Using Agile Methods in Learning and Development」セッションでは、学習者(Learner)のゴールとペルソナを明確にし、それをスポンサー(例:経営層など)とにぎっておくことの重要性もおっしゃっていました。
もっとも重要なのは「花嫁のニーズ」であり、参列者や親族のニーズではないといった結婚式の例があげられ、ここを詳細につめる=ペルソナであるとのこと。←イメージしやすい例だった
また、「Take E-Learning to the Next Level」というタイトルのパネルディスカッションにおいても、「Focus on the learner(学習者に重点を置け)」とコメントされている方がいらっしゃいました。すべてのコンテンツにおいてモバイルアクセスを可能としたのは、学習者の(業務)パフォーマンスを支援するためのツールとして位置付けているからであり、「何となくモバイルアクセスは必要」ということではないのです。

学習者にとって何が必要なのか・どうすればモチベーションが維持できるのかを学習者と共に考え、彼らのフィードバックも重視してラーニングデザイン(設計)をするべき、という「当たり前だけど見落としがちな」ポイントを強調していました。

他のセッションについて学んだ点などに関しては、次回にしたいと思います。

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