このサイトにおいて、人事システムについては何度も取り上げており、「どうやって導入するのか」よりも、「それをどう使うのか」にフォーカスを当てた方がよい、ということを述べたこともあります。
人事システムの中でも、「タレントマネジメント」はとても注目されていると思います。本日参加した「HR Solution Forum」でも複数のセッションで同様のことをおっしゃっておりました。やっぱりね!って感じで、ちょっとうれしいw
「タレントパレット」は”想い”がつまっていて素晴らしい
タレントマネジメントシステムを使った「社員の見える化」「科学的な人事戦略」について、プラスアルファコンサルティング様のセッションを受けました。タレントマネジメントシステムの「タレント情報」というと
- 業務経験や経歴といった「キャリア情報」
- 資格・知識といった「スキル情報」
といった静的データだけにフォーカスしたものがあるが、これは違う!とのことです。
- 将来への希望や要望、満足度
- モチベーション・ストレス
上記のような、動的なデータも含めて社内にある、あらゆるデータを集約すべきだそうです。そんなことできるのか?って思ったのですが・・・・
できるんです!!
タレントパレットを使えば、動的データも蓄積するだけではなく活用して、リアルタイムな働き方の変化(モチベーションや業務負担の感じ方)をつかむことができるそうです。
もともと、2人で創業したプラスアルファコンサルティング様も100名をこえるくらいの規模になったため、メンバー一人一人が見えづらくなっていたそうです。具体的には、社員が「どんなキャリアを描きたいのか」「今の仕事に満足しているのか、不満や不安があるのか」がわからない、新たに採用する社員の採用基準が不明瞭(直感?)、計画的な人材育成ができていないといった課題があったようです。
そこで、「知識・経験 モチベーションといったものを集約できないのか」というところからスタートしてできたのが、「タレントパレット」というタレントマネジメントシステムです。ここから得た結論は、「顧客満足度(CS)をあげるためには、社員満足度(ES)をあげるのが必須である」とのことです。
私は、初めてこの製品を知りましたが、ここまで開発会社の「想い」がつまったものを、はじめて知りました。自分たちが課題としてぶつかっていたことを解決させるために作り上げ、それを世の中に展開しているから、とても本気なものを感じました。
操作も簡単そうだし、しかも視覚的に情報が出てくるのがいい!「この人を異動させて、別の人をこの部門に入れたらどうなるのか」といった異動シミュレーションが簡単にできそうなのは、きっとそういった機能があれば・・・と感じる会社も多いだろうと思います。そのシミュレーションも、ありとあらゆるデータを使える土台があるので、なおさらです。
「未来企業の実験室」は密かに受け継がれていた
ソフトバンクは、私もユーザーであると同時に、孫社長のセンセーショナルかつ想像をこえた発言や戦略にびっくりさせられることが多いです。そんな会社の人事部門は、どんな取り組みを行っているのかを話していただいたセッションにも参加しました。
最近行った通信会社3社の合併(組織だけではなく、人事制度そのものの完全統合)を1年で、外部リソースを使わずに行った、とサラっと言ってのけていらっしゃいましたが、それってかなりすごいことです。合併しても、人事制度に関しては、簡単なところは統合させても、難しいところ(報酬や評価)は併存させて、数年かけて統合していくことが多いんですが・・・。
既に、ITを積極的に人事業務内に取り込んでいます。例えば、面接に伴う履歴書や職務経歴書の印刷は全く行わず、iPadで内容を確認し、面接結果などもそれ用のシステムにデータをいれることによって、過去の面接履歴も完全に残るようにしています。
それだけではなく、AIをどうやって活用するのか、それによって「オフィスを無くす」「社員からの定型的問い合わせに対応できる」といったことができるのかどうか、
想像→創造
につなげていこうとしているとのことです。すげー、先進的!そのために人事部門内に「未来探索室」という部署を創設し、(全員兼務の)若手メンバーを中心に、IT/AI活用によっていかに事業に貢献するのかを、業務として取り組んでいるとか。
ソフトバンクの前身会社のひとつ、旧日本テレコムの社長だった倉重氏は、元々は私も社員として勤務していたプライスウォーターハウスクーパースの社長でした。その時に「未来企業の実験室」と称して、その当時ではかなり先進的だった座席のフリーアドレス制や、プロジェクターを2つ用意して複数の画面が同時に映せる会議室が多数あったり・・・といったものが導入されておりました。「未来探索室」は、何となくそれを彷彿させるものだなぁと感じました。
手段が目的化してはいけない
どちらのセッションでも、共通しておっしゃっていたことは二つありました。
- 人材の”見える化”を行う
- 手段が目的化してはいけない
目新しいコメントでは無いのですが、実際にそれを実践している方々なのでとても説得力がありました。特にシステムを導入するとなると、どうしても「システム導入」が目的となりがちです。そうではなく、それをどのように活用するのか、というところにフォーカスしないと意味はないということです。やはり、人事スタッフにとって、データを分析する力やシステムリテラシーは必須となるだろうし、それが人事としての「直感」を裏付ける助けになるだろうと確信しました。
他のセッションについても、改めて記載する予定です。(追記:こちらになります。)