TechCrunch School #11 「HR Tech最前線」に出席しました。人材戦略をあれこれ語るのは楽しい

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Nagami@Aldoni Inc.

事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして独立。人事領域全般のコンサルティングを主な事業としているアルドーニ株式会社の代表。

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先週(9/28)、今回で3回目となるTech Crunch Schoolに出席しました。今年のTech Crunch SchoolはHR Techにフォーカスしたテーマなので、3月および7月に引き続きHR Tech関連のテーマです。ただ、今回はHR Techそのものというより、「テック企業の人材戦略にフォーカスしたセッション」でした。

成長企業だからこそ、早めの制度設計が必要

最初はグロービス・キャピタル・パートナーズの高宮様による「成長企業の組織・人事戦略 5つのあるあると要諦」というテーマでのキーノートスピーチ。まさに、この後の展開を考えると基盤となるスピーチそのものでした。

「5つのあるある」は以下の通りで、それに対応すべき施策というか考え方をご紹介してくださいました。

  1. 全くワークしないどころか、社内をかき回してやめた。
  2. 同じ職位なのに報酬レベルがバラバラ。
  3. ストックオプションを付与していたら、キーマン採用時に足りなくなった。
  4. エースが辞めたいと言ってきた。引きとめ工作に走るも意思は固い。
  5. 優秀な人材を確保できて、ポジションも与えたのにいまいちのびない。

たしかに、スキルが高く企業のカルチャーへの適合度が高い方が良いとは思うが、両方を備えている方を見つけるのはなかなかむずかしいでしょう。その場合、スキルが高い方を優先しがちだが、本来はスキルが低くても企業へのカルチャー適合度が高い方を採用すべきとのこと。こういう時は、面接によって判断するだけではなく適性診断などを行って、客観的にみるのがいいと改めて感じました。

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また、同じ職位なのに報酬レベルがバラバラ、というのもよくあることです。これはスタートアップ企業だけではなく、合併や買収を繰り返して大きくなった企業でも、報酬テーブルを統一せずに「調整給」を使い続けたので、同じ課長でも倍近い差があったりする・・・といった笑えない状況もあります。そのため、早期から評価制度と報酬テーブルの運用を開始し、共通ルールのもとで運用するべきでしょう。

↓私もこのセミナーの3日前に同じような内容を記事にしています。

事業は順調だ、次は人事だ!という企業にむけて低リスク投資のご提案。この1年の失注ケースの分析をふまえて
環境の変化などいろいろなきっかけが重なって、独立してから1年が経過しました。当初の想定して顧客や働き方は以下の通りです。 「スタートアップ企業などの『事業だけではなく、そろそろ人事に力を入れていきたい.....

また、事業や組織の成長にあわせて、新陳代謝もふくめ先回りして設計しておくべきである。キャリアゴールやキャリアパスとのすりあわせを行い、抜けてはこまる10人を洗い出しておいてピンポイントでの先回りしたリテンション施策を行おう、とおっしゃっていました。この辺は、いわゆるサクセッションプランニングのことだと思います。規模の大小に関係なくそういった考え方は組織管理にはもとめられているということですね。

さらに、組織設計というのはあるべき組織の姿で設計するものであり、既存の人材を軸に考えるものではありません。これは言うは容易いが行うは・・・という要素もありますが、こういったことを積極的に提言して実行していきたいです。

組織や人事の仕組化は重要だけど、最後は裁量で調整できる「遊び」も大事と締めくくっておりました。

人事制度もトライ&エラー

キーノーツスピーチの後、サイバーエージェント 曽山様、メルカリ 石黒様、エン・ジャパン  寺田様によるパネルディスカッションでした。テーマがいくつか設定されていて、その中から選んで話していく・・・というスタイルです。

自分たちの会社の人事制度のことだったからか、どんな制度なのか、それによる苦労した点やうまくいった点など、かなり「ぶっちゃけた」内容だったので、今後役立てたいと思う考え方や制度などもありました。

いろいろな話題が出ていましたが、3つの点について記載します。気になる人事制度としてはサイバーエージェントの「ミスマッチ制度」、考え方としてはメルカリの「徹底したエントリーマネジメント」が心にささりました。それから、テクニカルスキルとして、新しい人事制度をリリースする際に「XX年YY月に見直す」と記載するのは、何かの際に使ってみたいです。

ミスマッチ制度

まず、「ミスマッチ制度」は各部門の中で「パフォーマンスが発揮できていない」「カルチャーに合っていない」と思う社員をあげて、役員の間で徹底的にディスカッションをしたうえで、配置転換や場合によっては退職勧奨なども行うようです。当然、人生に大きく影響することでもあるので、それ相当にパワーのいることだと思いますが、カルチャーを大切にするという点は先ほどのキーノートスピーチの内容と共通しているでしょう。詳細はこちらの記事にかかれていました。

徹底したエントリーマネジメント

2つ目。「徹底したエントリーマネジメント」については、採用時の見極めが入社後に大きく影響するということだそうです。エンジニア採用にエンジニアがかかわっていると、後工程(入社後の立ち上がりや即戦力化)がよくなるともおっしゃっていました。会社の規模が大きくなるための採用ではなく、退職したから補充する採用活動というのは、退職がなければ発生しないタスクとも言えます。それによる人件費(採用費用だけではなく、それにたずさわる方々の給与など)を考慮すると、採用時に「短期で辞めてしまう」ようなことがないように見極めることは、キーポイントとなるでしょう。

XX年YY月に見直す

最後。人事制度のリリース時に「XX年YY月に見直す」と記載するのは、これは何かの時に提案しようと思います。諸々の人事制度は一度リリースすると、それが不要になりつつあることがわかっていても「止めない」ということが往々にしてあります。失敗だと思ったら、状況によっては止める、というのは何ごとにおいてもあるはずなのに、なぜか会社の人事制度だけはそうではない・・・。そのためには、最初から「見直す時期」を明言しておくと、反対に止めやすいとのことです。「見直した結果、継続する」というのもあり得る判断です。まさに、人事制度にもトライ&エラーの側面はあってもよいかなと思います。

再びセミナー内容と関係のない質問が入ったアンケート

セミナー終了後のアンケートが今回は、Google Documentを使ったオンライン形式になっていました。しかし、前回同様、またもやセミナーとは直接関係ないというより、むしろその設問を入れることが不適切としか思えないものがはいっていました。スポンサーだからしょうがないのかもしれないけど、「カークパトリックの評価4段階」から鑑みても、それは不要なアンケート項目だと個人的には認識しています。例によって、具体的な内容をここに記載するのは差し控えさせていただきます。どうしても気になる方は、直接ご連絡ください。

次の日も朝が早かったので、懇親会には出席せずに帰宅しました。

今年はこういったセミナーに多く参加し、かつ、このように記事にすることによって、自分の知識の定着化をねらっています。これはインプットとアウトプットのバランスも効いていてよいかなと思います。

<過去に参加したTech Crunch Schoolに関する記事>

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