Wantedlyのような「ゆるやかな関係作り」ツールは「よい案件があれば検討したい人」には合わないかもしれない(私見)

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一昔前まで、転職をする際の手法としては「転職エージェント経由」か「直接、企業に応募する」かのどちらかだったかと思います。もちろん、その手法は今でも有力なものと位置づけられているでしょう。しかし、最近、いやもう最近とはいえないくらい以前からのことかもしれませんが、Wantedlyやサンカクのように転職や採用選考を全面に押し出したものではない、「カジュアルなツール」が出てきています。

こういった「カジュアルなツール」は、”企業”と”潜在的な転職候補者”(以下、潜在的候補者と記載)との間で、「選考者と候補者・内定者」といった関係ではなく、もっとあいまいな「ゆるやかな関係」を作るのに役立っていると思います。しかし、その「ゆるやかな関係」は、転職活動そのものに有益なのか?という点については疑問が残ります。

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潜在的候補者がゆるやかな関係作りを望む時

そもそも自分が所属していない企業と、潜在的候補者が「ゆるやかな関係作り」をしたいと思う時は、どのような状況なのでしょうか?

考えられるケースとしては、「事業内容に興味がある、あるいは、該当企業のブランドや商品・サービスのファンなので、顧客/ユーザー以上の関係性をそれほど労力をかけずに構築したい」時だと思います。

例えば、顧客リストに登録されており、セールの案内も送られているようなお気に入りのブランドがあったとします。そういった状況において、たまたま、自分の専門領域ではないポジションの募集案内を、そのブランド会社のWantedlyページで見つけた時、「応援する」ボタンを押すかもしれません。あるいは、サンカクに出ていたディスカッション案件が、自分の専門領域のスキルや経験が役立ちそうで、かつ、時間にも多少の余裕がある時に「サンカクしてみよう」と思ってエントリーはするかもしれません。

潜在的なニーズも含め転職のことなどほとんど考慮しておらず、また期待している結果も転職とは無縁であることが多いです。上記の例でいえば、そのブランドに対するロイヤリティーを高めたいということであって、転職したいかどうかということではないでしょう。

ビジネスパーソンが転職したいと思っている時は、「ゆるやかな関係作り」より、「明確な募集に対する応募」を望んでいます。具体的には、エージェント経由であったり、企業の採用サイトからの直接応募など手法はいくつかあります。

企業がゆるやかな関係作りを望む時

一方、企業が潜在的候補者と「ゆるやかな関係作り」をする時は、どのような状況か考えてみたいと思います。即時の採用を考えている場合は、自社サイトに募集要項を載せたり、転職エージェントにサーチを依頼するでしょう。そうなると、考えられるのは以下のような状況ではないでしょうか?

「現時点では採用をするつもりは無いが、近い将来、採用をする予定なので宣伝しておこう」「いい方がいたら、採用面談に持っていくけど、そうでない場合は何もしない。」といったように、本格的な採用活動の前段階のためのツールと言えます。特に予定も想定も無いのに、「タレントプールをつくるためだけに、ゆるやかな関係を構築する」ことは無いと思います。

「ゆるやかな関係作り」の場として提供されているところへの参画意識は、企業と潜在的な候補者の間では隔たりがあると言えます。企業側は、採用活動の前準備(下準備?)のような位置づけである一方、潜在的候補者は、転職の意思も無かったり、あったとしてもそこには求めていない状況です。

「よい案件があれば検討したい」人が陥る状況

ところで、「転職するつもりは今のところは無いけど、よい案件があれば検討したい」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、それは「転職するつもりが無い」というよりも、「自分にとって良い案件が現時点では見当たらないので、転職しない(できない)」ということを言い換えたにすぎないでしょう。

私自身が事業会社にいた時に、転職エージェントに「転職するつもりは今のところは無いけど、よい案件があれば検討したい」と言っていた時の深層心理が、まさにそうだったからです(笑)。

そういった「条件がそろえば転職活動をするつもりがある」方々にとって、企業との「ゆるやかな関係作り」の場はニーズに合致しないと思います。

採用案件に応募をしてきた場合は、何らかの選考をして返信(判断)をする必要があります。しかし、「いい方がいたら採用面談に持っていくけど、そうでない場合は何もしない」時に、「ゆるやかな関係作り」ツールを使用しているので、「選考ではないから会うだけ会うけど、それ以上は何もしない。次の選考に進めるのか、お断りなのかさえも伝えない。」ことが多いです。

なぜなら、「ゆるやかな関係作り」の場なので、そういった明確な意思を企業が返す必要がないからです。ただ、これは!と思う人がいると、即座に選考プロセスにのせるでしょう。そのため、「よい案件があれば検討したい」と思っている人にとって、「中途半端なツール」となるのが「ゆるやかな関係作り」ツールです。

Wantedlyには、「話を聞きに行きたい」というボタンがありますが、厳密にいえば「採用選考への応募」ではないという位置づけです。

言い換えると、「ゆるやかな関係作り」ツールは、転職活動の視点から鑑みると有力な手段にはならないのです。企業側でいかようにでも、そのツールの有り方をコントロールができるからです。表立っては「選考プロセス」ではないため、何とでも定義することができます。

採用のメインツールではない「ゆるやかな関係作り」ツール

理想論としては、「タレントプールをつくる」というのは成り立つと思います。また、それは企業にとっても必要です。ただ、それだけのために企業が何らかの活動をすることはなく、「今回は採用を見送った方」「内定を辞退された方」「現在は募集していないポジションを希望して応募してきた方」などを文字通りプールしておくことが実情ではないかと思います。「ゆるやかな関係づくり」の中では、実は企業側のほうが船のオールを持っているので、実際のパワーバランスは、圧倒的に企業側に有利なのではないかなと個人的には理解しています。

その辺をふまえて、潜在的候補者側も「ゆるやかな関係作り」の場を活用すればよいと思います。「転職するつもりは今のところは無いけど、よい案件があれば検討したい」というのは、潜在的に転職を検討している状況と認識した方がよいです。その場合、企業の採用案件に応募したり、企業からスカウトされるような手法などを用いるべきです。

企業側も、これだけで採用活動を行うのではなく、補足的なツールとして位置付けたうえで「ゆるやかな関係作り」ツールを使った方がいいでしょう。

「ゆるやかな関係作り」ツールを使ったことによって、結果的にはうまくいくかもしれません。そういったケースも存じ上げております。しかし、「ゆるやかな関係作り」ツールは採用/転職活動のチャネルとして、メインのものとして位置付けるのは、どの立場(企業・転職希望者)であっても避けた方がよいと思っています。

<2018年5月24日追記>

先日参加したセミナーでWatendlyを使って潜在層にアピールすることで、社員の採用に成功しているケースをうかがいました。

先日(5/16)、「HR to IT カイギ #4」に参加しました。「HR to ITカイギ」は前回に引き続き2回目でした。 今回...
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