「ビジョナリー・カンパニー」になるための第一歩は?生き残る会社に共通する要素

この記事を共有しませんか?

最近、ジェームズ・C・コリンズおよびジェリー・I・ポラスの著書「ビジョナリー・カンパニー」を読む機会がありました。「ビジョナリー・カンパニー」すなわち「先見性があり、かつ、時代をこえて生き残る会社」のセオリーは、この本が発刊された1995年(今から四半世紀前)当時だけではなく、現在においても有益な内容であると実感しました。

ビジョナリー・カンパニーと比較対象企業

本書によると、ビジョナリー・カンパニーとして、3M・アメックス・GE・HP・IBM・ウォルマート・ソニーなどを選定しています。一方、比較対象企業は、「ダメな会社ではなく、いずれも優良企業ではある」が、調査の結果、ビジョナリー・カンパニーの水準には達していないと筆者が判断したものとのことです。著者の「主観」ではなく、客観的な事実に基づいてビジョナリー・カンパニーを選定したことは理解できました。

出典:https://jmatsuzaki.com/archives/23763

一部の企業は合併して社名が変わっているケースもありますが、25年経過した今でも現存している会社がほとんどです。

必要な要素

ビジョナリー・カンパニーとはどういう会社なのかを、様々な視点による統計的分析や企業における史実に基づいて解説している一方、比較対象企業の似たような事例および対応例も示しています。結果として、以下の10個のポイントがあがっていました。

  • 起業時に、すばらしいアイデアは必要ない

    • 起業時にすばらしいアイデアは持っていることはほとんどなく、事業に関してはあれこれと試行錯誤の末、偶然見つかるものである。

  • 時を告げず、時計をつくる(仕組みをつくる)

    • 「カリスマ指導者=時をつげること」←→「時代をこえて繁栄し続ける会社をつくること=時計を作ること」

  • ORの抑圧ではなくANDの才能を重視する

    • AかBのどちらかを選ぶのではなく、AとBの両方を手に入れる方法を見つけ出す。例:「長期的な視野に立った投資」と「短期的な成果の要求」

  • 会社が最高の作品である

    • 例:最高の作品とはディズニー社そのものであり、アニメやディズニーランドではなかった

  • 利益の最大化だけでは不十分

    • ビジョナリー・カンパニーは利益だけでなく、組織全体が理念をどれだけ追求しているかを同時に重視している

  • 社運を賭けた大胆な目標がある(BHAG=Big Hairy Audacious Goals)

    • ビジョナリー・カンパニーは社運を賭けた大胆な目標をかかげることによって、組織のやる気を引き出す。業績をのばす起爆剤としている

  • カルトのような文化がある

    • 価値観が合う人にとっては最高の職場だが、価値観が合わないと短期間で辞めるような職場である

  • 大量のものを試して、うまくいったものを残す

    • 例えば3M社の技術者は、労働時間の15%を研究開発にあてている。そこから予想しなかった革新を産み、新商品の開発につなげる。(大ヒット商品のポストイットも偶然の産物)1つの成功を得るには、多くの失敗が必要

  • カリスマ経営者は不要、生え抜き経営者が必要

    • カリスマ経営者(プロ経営者)だと、次期経営者に経営を引き継いだら業績が落ちる。優秀な経営者を継続させるために、生え抜き経営者を育てることが重要なことと位置付けている。そのための仕組として、後継者管理や育成プログラムがある

  • 決して満足しない

    • ビジョナリー・カンパニーは安心感を目標にせず、社内で”不安感”を作り出すことで改善をうながす環境にしている

      ←現在の「心理的安全性」とは若干異なる視点

基本理念の維持と進歩の促し

ビジョナリー・カンパニーはどの会社も、自社の基本理念という一貫性を維持しながら、しかし同時に常に変化し続けて進歩し続けるという、ある意味では矛盾する二面性を備えています。

「基本理念を維持する」ための要素が「生え抜きの経営者」や「カルトのような文化」などであり、「進歩を促す」ための要素が「社運をかけた大胆な目標」「大量のアイデアを実験する仕組み」「決して満足しない」などがあてはまると言えます。

<基本理念の例>

IBM

  • 従業員に十分に配慮する
  • 顧客を満足させるためには時を惜しまない
  • 最善を尽くす

ビジョナリー・カンパニーへの第一歩

ビジョナリー・カンパニーになるための最初の一歩は、「基本理念をしっかり持つ」ことでしょう。

基本理念=「会社の基本的価値観」+「会社の存在目的」

基本理念を書きあげるには、心から信じていることを内部から理念として吸い上げることです。ビジョナリー・カンパニーは、基本理念を原動力とし、その基本理念を「維持」するためなら、どんな些細なことでも何でもやる徹底的な姿勢がずば抜けているという特徴があります。具体的には、戦略、組織体系、報酬制度、オフィス・レイアウト、業務プロセスなど会社を構成するあらゆる面において、基本理念の維持のために多大な労力・時間をかけています。

本書の中では、「21世紀になっても時代遅れになってしまう恐れのあるもの」ではなく、「将来にわたって経営の基本となる」と記載されています。確かに発刊されてから四半世紀を経過した現在に読んだ結果、その通りになっていると言えるでしょう。

より詳細を知りたい方は是非、本書を読んでみてはいかがでしょう?さらに続編も出版されているようです。

★この記事が役に立った、あるいは気に入ったらサポートをしてみませんか?(PayPalアカウントが必要です。金額を変更することもできます)

この記事を共有しませんか?

フォローしませんか?