(仮説)人事制度・業務に対して理解不足のベンダーがサービス・ツールを開発している?

HR Tech
この記事を書いた人
Nagami@Aldoni Inc.

事業会社、コンサルティングファームの両面から人事に20年たずさわった経験を活かして独立。人事領域全般のコンサルティングを主な事業としているアルドーニ株式会社の代表。

ブックマーク・フォローしませんか?

昨年参加したHR Technology Conference & Expoが、今年もラスベガスで開催されています。それに伴ってHR Techサービスに関する所見やコメントが、既に発信されています。日本におけるHR Techサービスに関してはどうでしょうか?私の周囲で起こったことをふまえた仮説を提言したいと思います。

あくまでも私見です。

要件にあうものが無い

「お客様の要件にあうHR Techサービスが存在しない」「いくつかを組み合わせても、お客様が実現させたいことができない」「現行業務の中で色々と使いこなそうと検討したが、制約がありすぎたので解約した」というケースが何度かありました。

国内にあるHR Techサービスについては、結構時間をかけて調べたり、直接確認しています。また、どのお客様も自分たちにとって譲れない要件と、システムの仕様に柔軟に対応する部分を明確にしており、前者部分も特殊ではないどちらかと言えば普遍的な内容でした。それにもかかわらず・・・。

ここから導き出されることって何だろう?と私なりに考えてみました。

・履歴管理機能が弱い

・マスターデータ連携が弱い

・どういうシーンで使用するのかがイメージできない

・人事制度・業務に対して理解不足のベンダーがサービス・ツールを開発している

それぞれについて詳細を述べたいと思います。

事実:履歴管理機能・マスターデータ連携が弱い

以前、↓の記事でも取り上げたことがありますが、日本で開発されているHR Techサービスは圧倒的に履歴管理とマスターデータ連携を考慮していない、あるいは、あったとしてもたいしたものではないと認識しています。多くのHR Techサービスと連携していると謳っているSmartHRも、連携項目や内容を見ると、「その程度じゃまだ足りないし、双方向にデータ連携ができないなら意味が無い」と言いたくなるレベルです。(2019年10月時点)

これは導入したい!と人事担当者が思うHR Techサービスに必要かつ見落としがちな5つのポイント
HR Techサービスについては何度も記事にあげているだけではなく、実際に色々なサービスを目にする機会も多いと認識しています。以前、HR Techサービスを「機能特化型」「マスター型」の2つにわけて論.....

「開発する前にニーズ調査は行いましたか?」と聞きたくなるくらい、履歴管理についてスルーされていることが散見。その一方で、「開発時に200社にヒアリングした」と宣伝しているHR Techサービスについては、「人事データに関して履歴に言及しない人事担当者しかいないレベルの低い会社」だけをターゲットにしていたのかな?と邪推したくなります・・・。

現象:どういうシーンで使用するのかわからない

色々な機能というか「パーツ」はあるのだが、それを人事管理や経営管理の中でどういう時にどのように使うのかを具体的にイメージしておらず、とりあえず、「それっぽいものを作った」というものがチラホラ見受けられます。「データが入る箱はつくった、あとは適当自由に設計してください」的なものが多すぎませんか(笑)?

もし、「こういう業務プロセスを前提に開発した」と明示できるベンダー様がいらっしゃれば、是非ともご連絡のほど!

結論(仮説):人事制度・業務に対して理解不足のベンダーがサービス・ツールを開発している

ここまでくると、日本でビジネスを展開しているHR Techサービスベンダーについては、この説が立証できる可能性が高いと思っています。もちろん、しっかりと人事業務を掌握したうえで開発しているベンダーもあるでしょう。

しかし、「自分たちの要件をふまえた上で、お勧めの(HR Techサービスの)組み合わせって何ですか?」「どうすれば、(それほど特殊とも思えない)自分たちの要件が実現できるのか?」という質問をお客様からもらっても、自信をもって提案ができない真因って何だろうとつきつめた現時点での結論(仮説)は・・・

人事制度・業務に対して理解不足のベンダーがサービス・ツールを開発しているのではないか

ということです。

HR Techサービスベンダーの中には、人事関連のブログを開設しているケースがあるのですが、そこに書かれている内容に偽りがあることもチラホラ。具体的な会社名を出すのは控えますが、評価制度について、明らかに間違った内容が記載されていたので、その会社のサービスは選択肢から外したこともありました。

「帯に短し、襷に長し」であったり「部分最適には使えるけど、全体最適にはならない」といったものばかり・・・。組み合わせて使えるかと思って調べていくと、重複しているところがある一方、機能そのものが双方に抜けている部分があるので組み合わせても意味がないといったことに・・・。

この仮説については、是非とも論破されたいです。何言っているんだ、うちはもっとしっかりしていて、すごいぞ!というところがあったら知りたいです!切実!!

タイトルとURLをコピーしました